東京地方裁判所 昭和43年(ワ)6322号 判決
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〔請求の原因〕
一、(事故の発生)
原告らは、次の交通事故によつて傷害を受けた。
(一)発生時 昭和四二年四月二日午後四時三〇分頃
(二)発生地 埼玉県川口市緑町四八六九番地先路上
(三)加害車 事業用普通乗用自動車(練五き四八三七号)
運転者 被告 柳沢
(四)被害車 自家用普通貨物自動車(練四ぬ一六八六号)
運転者 原告 晴雄
被害者 晴雄および原告美貴子、同裕典同聡、同佐藤(同乗中)
(五)態様 加害車に被害車の右前部とが衝突。
〔判決理由〕一、(事故の発生)
請求原因第一項(一)ないし(五)は当事者間に争いがない。<以下略>
三、(過失割合)
<証拠略>によれば、本件事故現場附近の道路は荒川堤防の北側を東西に通じ、堤防に接して幅2.6米の非舗装部分その北側に幅3.5米のアスファルト舗装部分、その北側に幅8.3米の非舗装部分があつて全体は幅員14.4米の歩車道の区別のない道路であるが、本件衝突地点より西約3.5米の地点から東約一五米の地点までの約五〇米の区間だけは北側の幅員8.3米の非舗装部分に該当する部分がコンクリート舗装されていること、そしてコンクリート舗装部分には所々にくぼみがあること、直線道路で見透しはよいこと、原告晴雄はアスファルト部分を時速約四〇粁で進行していたところ、被告柳沢は時速約五〇粁で前記アスファルト部分とコンクリート部分の境附近を進行し、深さ約一〇糎のくぼみに加害車の前輪を乗り入れた際にハンドルを右にとられ、急に右に出たため加害車右前部を被害車右前部に衝突させたことが認められる。右事実によれば、被告柳沢の進路にはくぼみがあり、くぼみに車を乗り入れた場合にはハンドルをとられる虞れが多分にあるから予め減速し且つすれ違いに際しては十分間隔をとり、しかもくぼみを避けられない場合にはハンドルを確実に握つてハンドルをとられないようにして接触事故を起こさないようにすべき業務上の注意義務があるにも拘らず、同被告は漫然と時速約五〇粁で十分な間隔をとることなく進行したためくぼみに落ちてハンドルを右にとられた過失が認められるのに対して、原告晴雄としては加害車がそのまま進行すればすれ違いは可能であり加害車が突然ハンドルをとられて右側へ進路を変えることまでも予測して進路を更に左側へ寄せるべき注意義務はなく同原告には加害車を避けるべき時間的余裕はなく、過失相殺をなすべき過失は認められない。
ところで、<証拠>によれば、原告裕典は運転席と助手席の中間に乗車しており、事故の際チェンジレバーに頭部がぶつかつたことが認められる。したがつて、原告裕典の傷害は、同原告の座席位置が不適当であつたことにも原因があり、同原告についてはその損害の算定に当つては右の過失を斟酌すべきである。ところで、同原告の過失と被告柳沢の過失の割合は二対八をもつて相当と認める。
四、(損害)
(一) 治療費
被告会社から治療費として、原告晴雄分一万六七五八円、同美貴子分七万二九五〇円、同裕典分一〇万二五二〇円、同聡分八二四〇円、同佐藤分一四万〇四八〇円が支払われていることは当事者間に争いがないが、<証拠略>および弁論の全趣旨によれば、右の他に原告晴雄は原告佐藤以外の原告らの治療費として三万三四九四円、原告佐藤は自己の治療費として二万四〇〇〇円を支払つていることが認められる。
(二) 見舞金返礼
見舞金に対する返礼は、贈与としての見舞金に対する社会的儀礼として行なわれるものであつて、その出捐は交通事故そのものとは因果関係は認められないので、主張自体失当として認められない。
(三) 通院交通費
被告会社が原告らの通院に車を提供し、これをタクシー代に換算すると五〇〇〇円相当になることは当事者間に争いがないが、<証拠略>および弁論の全趣旨によれば、同原告は更に原告裕典の通院交通費として一万七七二〇円を支出したことが認められる。
なお、(一)の治療費、(三)の交通費については、金額もそれ程多額ではなく、原告裕典の過失割合も少ないので、この点については過失相殺はせず、慰藉料算定において原告裕典の過失を斟酌することとする。(篠田省二)